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カルマンフィルター(KF)の理論と応用

〜直感的な理解と応用事例の説明〜


日時: 平成29年6月7日(水)午後2時00分〜午後5時00分
会場: 金融財務研究会本社 グリンヒルビル セミナールーム
(東京都中央区日本橋茅場町1-10-8)
受講費: 35,600円(お二人目から30,000円)
(消費税、参考資料を含む)

講師 森平爽一郎(もりだいらそういちろう)氏
慶應義塾大学 名誉教授

 カルマンフィルター(KF)はリアルタイムに入手可能で、雑音(ノイズ)に汚染された時系列データからノイズを取りさり、的確に将来値を予測する工学上の手法として開発された。1960年代人類が月に到着できたのは伊藤確率解析とカルマンフィルターによるところが多大であると言われている。カルマンフィルターは日常われわれが利用するナビやお掃除ロボット、天気予報や車の自動運転などにも重要な役割を果たしている。カルマンフィルターは、より広い「状態空間モデル分析(State Space Modeling)」の理論的な枠組みの下、1970年代から経済学に対する適用がはじまり、最近ではファイナンス分野に対してもさまざまな応用が試みられている。とりわけ最近の話題であるフィンテックにおいても利用が活発である。
 このセミナーではカルマンフィルターの理論を、高度な線形代数などの知識を前提にせず、移動平均や単回帰分析と言ったよく知られている手法にカルマンフィルターを適用すると何が良いのかを説明することから初めて、その「直感的」理解を目指す。理論の理解を深めるためにExcelによるカルマンフィルター計算ツールを配布し利用する。さらにトレーディングや資産運用、リスク管理などにどのようにカルマンフィルターを応用できるかを内外の研究事例を紹介する。また多くのテキストや論文では議論されていない実際の適用にあたって問題解決ノウハウや利用ソフトウエヤーについても具体的な説明を行いたい。



T. カルマンフィルターとは?
(1-1) 単回帰分析とカルマンフィルター:比較
(1-2) 東電の確率ベータを推定する

U. 逐次推定とは:Excelを用いて理解する
(2-1) 逐次推定によるリアルタイム計算。なぜ重要なのか?
(2-2) 平均値と分散の逐次推定を理解する。
(2-3) 移動平均と指数平滑を逐次推定として理解
(2-4) カルマンフィルターの直感的な理解

V.カルマンフィルターとは:Excelを用いて理解する

(3-1) カルマンフィルターモデルを「言葉」で理解する。
(3-2) カルマンフィルター特有の記号や変数名に慣れよう。
(3-3) カルマンフィルターの導出:正規分布を仮定する場合に限りその直感的な理解を目指す。
(3-4)2変量正規分布の条件付期待値と条件付き分散は何を意味するのか?絵を描いて理解する。
(3-5) カルマンフィルターにおける「予測」、「フィルタリング」、「スムージング」は何を意味するのか?直感的な理解
(3-6) カルマンフィルターの導出:1期先予測
(3-7) カルマンフィルターの導出:ファルタリング
(3-8) カルマンフィルターの導出:スムージングとは
(3-9) Excelを用いた実習:株価と為替データを用いて実際に試してみる。

W. 応用:様々な応用事例を理解する
(4-1) 確率スマートベータの推定
(4-2) マルチファクターモデルへの適用
ファーマフレンチモデルをKFを用いて推定
(4-3) 「ペアトレーディング」への応用
(4-4) 確率ボラティリティの推定:為替と株価への応用。GARCHとの違い
(4-5) 金利期間構造分析(1)KFによるマイナス金利モデルの推定
(4-6) 金利期間構造分析(2)債券価格にキャリブレートして短期金利の時系列変化を推定する。
(4-7) 先物を用いた分析(1):コモディティ先物価格から現物価格を推定
(4-8) 先物を用いた分析(2):確率的なヘッジ比率の推定
(4-9) 信用リスク分析:KFによるデフォルト確率の時系列推定
(4-10) 期待インフレ率の推定(1):基本的な考え方
(4-11) 期待インフレ率の推定(2):クリーブランド連銀モデル
(4-12) その他の応用事例:時間の許す限り
1)フィンテックへの応用 2)マクロ経済分析 3)保険や年金分析への適用などについて触れたい。

X.非線形のカルマンフィルター:入門

(5-1) 拡張カルマンフィルターの直感的な理解と導出
(5-2) その他の非線形カルマンフィルターモデルの概要

Y. カルマンフィルター分析のためのソフトウエヤーの紹介



【講師略歴】
テキサス大学(オースチン校) McCombs School of Businessファイナンス学部博士課程卒業。PhD in Finance、福島大学経済学部助教授、慶應義塾大学総合政策学部教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授を経て現在に至る。日本銀行金融研究所国内客員研究員(1999-2001年)、京都大学経済研究所金融工学研究センター客員教授を兼任(2003-05年)。応用ファイナンス理論、保険学(保険、保険数理学)、日本アクチュアリー協会朋友、証券アナリスト検定試験委員など。
主要著書:
『信用リスクの測定と管理』(中央経済社、2011年)、『信用リスクモデリング』(朝倉書店、2009年)、『コンピューテショナル・ファイナンス』(朝倉書店、1997年)、『物語で読み解くデリバティブズ入門』、『物語で読み解くファイナンス入門』(日本経済新聞出版社、2011年)。


※録音・ビデオ撮影はご遠慮下さい。
主催 金融財務研究会
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