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海外・国内M&Aの売却案件でのノウハウ

〜売手側の実務担当者が知っておくべき注意点と実務の勘所〜


日時: 平成29年11月30日(木)午後2時00分〜午後5時00分
会場: 金融財務研究会本社 グリンヒルビル セミナールーム
(東京都中央区日本橋茅場町1-10-8)
受講費: 34,800円(お二人目から29,000円)
(消費税、参考資料を含む)

講師 中田順夫(なかたのぶお) 氏
日比谷中田法律事務所
代表 パートナー弁護士・ニューヨーク州弁護士

 2008年頃より急増した日本企業による海外M&Aの結果、海外子会社のポートフォリオが積みあがった日本企業が、「戦略の転換」や「選択と集中」により、ここへきて以前買収した海外子会社を売却する案件が増えてきています。国内で活発にM&Aを重ねてきた企業についても同様です。昔は買収後うまくいかない子会社にエンドレスで資金と人材をつぎこんで泥沼にはまってしまいがちだったのですが、日本企業も習熟し、早めに見切りをつけて適正価格で他に売却することで傷を浅く抑えるテクニックを身に着けてきています。
 売却案件での実務担当者の役割は受動的・限定的で、スムーズかつスピーディーに売却実行に持ち込むことくらいがポイントと考えられていますが、売却案件アドバイスの歴史の長いイギリスのマジック・サークルの法律事務所では、売手側に立つ場合のノウハウが蓄積されてきています。本講義では、講師がAllen & Overyのパートナー時代にキリンによるグローバルでのアグリバイオ・ビジネスの売却案件を担当して以来、繰り返し売却案件を担当し修得してきた、売手側実務担当者が知っておくべき注意点とノウハウをご紹介します。
 


1.売却案件での失敗事例
(1) オークション手続で最終的に残った中国企業に買いたたかれた。
(2) 交渉力強化のため対象会社のCEOを売手側チームに入れたところ、あの買手に売却されないのなら退職すると迫られ、買手側の言いなりの交渉になってしまった。
(3) あわててデータルームを開設したところ、買手からの問題追及で、対応が過剰な負担になってしまった。
(4) Letter of Intentで独占交渉権を付与した際、終了日規定がなかったため、他への売却打診ができなくなってしまった。
(5) アーンアウト規定を入れたが、買手のまずい経営判断で追加支払いがなくなってしまった。 
(6) 表明保証責任の上限が買収金額の100%とされていたため、売却後の買手からの表明保証責任の追及が重なり、結局売却代金をすべて費消してしまった。  
(7) 錯誤無効を主張され、契約書中の表明保証責任の上限・期限が無意味になってしまった。
(8) マイナーな子会社を売却処分した際の競業避止義務のため、先端ビジネス領域の別会社の大きな買収ができなくなってしまった。
 
2.売却手続の選択
(1) 相対交渉手続とオークション手続の長所・短所  
(2) オークション手続の概要  
(3) オークション・ルール作成のポイント  
(4) 欧米マーケットでの売手側から見たオークションの実際(double track/triple trackなど)
 
3.売却対象会社マネジメント対策
(1) 工夫ポイント(共通の利害関係をどう作るか?リテンションの確保はどう図るか?)
(2) インセンティブ・ボーナスの設定  
(3) 支払いは、売却対象会社か売手会社か?
 
4.ベンダー・デューデリジェンス
(1) 買手側で見るベンダー・デューデリジェンス  
(2) 売手側の目的1(問題点の事前解消)  
(3) 売手側の目的2(Q&Aへの適切な回答)  
(4) 売手側の目的3(SPA交渉でのポイント把握)  
(5) 売手側の目的4(disclosure letterの作成)
(6) 売手側の目的5(表明保証保険でのdeclarationの前提)
 
5.Letter of Intent
(1) 価格表示に注意(企業価値なのか株式価値=買収対価金額なのか明確に)  
(2) 独占交渉権付与と期間規定の注意
 
6.株式売買契約交渉のポイントと交渉戦略
(1) 売買代金支払い受領の確保(分割払い・エスクロー・為替リスク)
(2) アーンアウト規定のためのプロテクション
(3) 責任の限定1(売主の知る限り、重要な点において)  
(4) 責任の限定2(上限と期限が最重要、他にthresholdとdeductibleやde minimis)  
(5) 責任の限定3(買手の認識、損害回避義務、財務諸表への反映)
(6) 責任の限定4(親会社や共同売主の保証要求への対応)  
(7) 競業避止条項(売手側のグローバルビジネスを見渡し、先端ビジネスの動向も踏まえ、売手側として除外してもらうべきところを確保) 
(8) パッケージ提案での交渉妥結
 
7.Disclosure letter作成の注意
(1) 実務上誰がどう作成するのか?  
(2) 出すタイミング  
(3) いずれかの項目で開示されていれば、他の項目でも開示されたことにできるか?
 
8.売手側表明保証保険の活用
(1) 責任限定  
(2) 仕組み  
(3) エスクローの代替にできるか?

〜質疑応答〜



【講師紹介】
あさひ法律事務所(現在の西村あさひ法律事務所)の中心的パートナーとして活躍した後、Freshfields Bruckhaus Deringer、Allen & OveryでそれぞれM&A部門の責任パートナー(特にAllen & OveryではGlobal Corporate Boardのボードメンバーとして、globalのM&A practiceをリードする)を歴任した後、新時代の要請に柔軟に応えるべく2012年春に日比谷中田法律事務所を設立し、代表パートナーとして今に至る。33年間にわたりきわめて多数の国内外のM&A案件をアドバイスする。専門は、日本企業による海外企業の買収と日本の上場会社の買収。日比谷中田法律事務所はイギリスのCorporate ITNL誌で2年連続Cross Border M&A Law Firm of the Year (2016)・(2017)に選ばれ、講師個人もイギリスのInternational Advisory ExpertsでCross Border M&A Lawyer of the Year in Japan (2017)に選ばれるなど、特に海外メディアから高い評価を受けている。  


※録音・ビデオ撮影はご遠慮下さい。
主催 金融財務研究会
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