同講師による5月18日(金)開催の日本国内における企業結合審査対応に関するセミナーに続き、本セミナーでは、海外各国の企業結合審査、ガン・ジャンピング及びM&A契約における競争法対応をとりあげます。
日本企業のM&Aで海外各国当局の企業結合審査が必要というと大型M&Aをイメージしやすいかと思います。しかし実際には、中堅企業同士の統合でも各国の基準によっては競争当局への届出が必要になる事例が見受けられます。さらに、合弁会社の新規設立で合弁会社自体に海外売上がない場合でも届出の検討を要する国もあり、意外な場面で海外届出を必要とする事案は実は多く存在します。案件進行中に海外届出を要する事態が判明した場合、スケジューリングの変更を余儀なくされるなど、案件全体に与える影響も甚大です。このような不測の事態にならないよう、海外届出に関して日本企業が直面しやすい事例を交え、海外届出対応の勘所や最新動向を説明いたします。
さらに、独禁法に関連して近時のM&Aプロセスで避けて通れない問題として、「ガン・ジャンピング」と呼ばれる問題が挙げられます。デュー・ディリジェンス時の情報交換やクロージング前の統合準備など考慮すべき局面は多く、その問題の所在から実務的な対応方法まで簡潔に解説いたします。
そして二回のセミナーのまとめとして、M&Aの一連のプロセスで競争法が問題となる事項をおさらいし、M&A契約でのリスク分担の手当について、最新の契約実務を交えてご紹介いたします。
前回セミナー同様、今まで関与されたM&Aで独禁法が大きな問題とならずとも、今後に備えてのM&Aに関連する独禁法の知識を整理したいという企業のご担当者にお勧めのセミナーです。前回セミナーとあわせてのご参加をお勧めしますが、本セミナーのみのご参加でも問題ないよう進行いたします。
1. 海外競争法届出対応
・各国届出要否の検討方法
・主要国における留意点〜中国・米国・欧州
・海外届出を考慮したスケジューリング
2. ガン・ジャンピングに関する留意事項
・ガン・ジャンピングとは
・案件の性質・局面に応じたガン・ジャンピング対応
3. M&A契約と競争法
・M&Aプロセスにおいて競争法対応を考慮すべき事項
・競争法対応に関するM&A契約上のリスク分担
【講師紹介】
2006年東京大学法学部卒業、2007年弁護士登録、2009年〜2011年経済産業省経済産業政策局産業組織課で執務、2013年米国デューク大学ロースクール卒業、2013年〜2014年米国Pillsbury Winthrop Shaw Pittman法律事務所(NY)で執務、2014年ニューヨーク州弁護士登録。
専門分野:
M&Aを中心に企業法務全般を取り扱うが、あわせて企業結合対応に強みを有しており、DD・契約交渉のハンドリングから、公取委審査対応・各国競争法ファイリングまで、ワンストップで対応。大規模な統合案件や同業種間の買収・統合案件に豊富な経験を有し、ストラクチャリングや契約交渉においても公取委審査・各国競争法届出を意識した助言を行う。
主な著作:
「Getting the Deal Through - The Legal Landscape - Japan」 (2017年、共著−競争法関連箇所を担当)、『金融商品取引法 公開買付制度と大量保有報告制度編』(商事法務、2017年、共著)など。
※録音・ビデオ撮影はご遠慮下さい。