日本の親子上場会社の行方
利益相反と不明確な法的基準が招くチキン・ゲーム


日時: 平成29年10月12日(木)午後1時30分〜午後4時30分
会場: 金融財務研究会本社 グリンヒルビル セミナールーム
(東京都中央区日本橋茅場町1-10-8)
受講費: 34,500円(お二人目から29,000円)
(消費税、参考資料を含む)

講師 スティーブン・ギブンズ
外国法事務弁護士 米ニューヨーク州弁護士
上智大学 法学部教授

 終身雇用制度、株式持ち合い・政策保有に基づく安定株主制度と並んで、日本独特の「親子上場会社」は「日本型資本主義」を支える3つ目の大黒柱である。利益相反を必然的に招く上場親子会社の関係は、正論であるコーポレート・ガバナンスの原則に明らかに反する。これを背景に、コーポレート・ガバナンスに対する意識が大きく進化したこの10年の間に、親子上場会社数は400社余りから現在の270社に縮小している。
 上場子会社を一刻も早く100%子会社に変えたい企業は少なくない。しかし、親子間に利益相反が存在する影響でその目的を達することは容易ではない。一般株主に提供するべき「公正価格」の法的基準が不明確であることが大きなネックとなる。さらに、上場子会社の一般株主の中には、完全子会社化の可能性を利益獲得のチャンスと見こんで、将来の完全子会社化に備えて計画的に株を取得したファンド系のプロ投資家が大勢いる。企業側は、いかに安くファンドと喧嘩をせずに株を買い取ることができるかどうかを悩み、かたやファンド側は、楽しみにしている収穫の日がいつ来るのか、企業側から満足の行く価格がでるのかをやきもきしながら待つ。
 当セミナーでは、企業・ファンド両サイドの視点から親子上場会社の完全子会社化を巡る戦略、今後の展開を分析・予測することを企画している。
 


1.ファンドはなぜ上場子会社に魅力を感じるのか?
・親子上場会社はなぜ日本に多いのか?
・エフィッシモの親子上場会社ポートフォリオの分析
・「Value」系外資ファンドの親子上場会社に対する偏向的な投資傾向
 
2.不明確な法的基準の陰とコスト
・上場子会社の企業価値評価の特徴
・しかるべき法的基準:アメリカ・欧州・日本の裁判所の取り扱いの比較
・企業とファンドのチキン・ゲーム:パナソニック・パナホームの事例
 
3.残る上場親子会社の行方
・ソフトバンク・グループ
・日本郵政



【講師紹介】
東京育ち。京都大学法学部大学院留学後、ハーバード・ロースクール修了。Debevoise & Plimpton, New Yorkに勤務後、1987年以降は東京を拠点とし、国際企業法務を主な業務分野としてGibson, Dunn & Crutcher、西村総合法律事務所(現:西村あさひ法律事務所)にて勤務。2001年よりギブンズ外国法事務弁護士事務所所属。
主要著書:
“The Vagaries of Vagueness: An Essay on “Cultural” vs. “Institutional” Approaches to Japanese Law”, 22 Michigan State International Law Review 839 (2013) 、“Looking Through the Wrong End of the Telescope: The Japanese Judicial Response to Steel Partners, Murakami and Horie”, in Washington University Law Review, Vol.88, No.6 (2011) 、“Corporate Governance and M&A”, chapter in Japanese Business Law, G. D. McAlinn, ed. (Wolters Kluwer 2007)、
「Grokster米連邦最高裁判決とWinny開発者事件をめぐる「意図」の関係」 国際商事法務 Vol. 33, No.8 (8/2005)、「UFJ-MTFGの「取引防衛対策」はどの「取引」を「誰」のために「保護」しているのか?」 国際商事法務 Vol. 33, No.2 (2/2005)、 「デラウエア州最高裁であったら、今回UFJホールディング側がとった合併統合防止策に対して、どのような司法判断を下したであろうか?」 国際商事法務 Vol. 32, No.10 (11/2004)。


※録音・ビデオ撮影はご遠慮下さい。
主催 経営調査研究会
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