リニエンシーレースⅡ

2012/12/27
2012/12/27

昨日の記事では、日本におけるリニエンシー制度のことでしたね。

日本語だと課徴金減免制度・・・・・で、そもそも課徴金ってどれくらいなんでしょう?
減免額同様、課徴金も機械的に決められ、公取委に裁量はありません。
原則として課徴金額は
カルテル実行機関における対象商品・役務の売上額(最長3年)×課徴金算定率
で求められます。
課徴金算定率は減額として10%で、元々利益率が低い小売・卸売業、さらに中小企業も軽減算定率(1~4%)が適用されます。逆に再度の違反や主導的業者が行った場合は1.5倍になります。
課徴金納付命令金額は年々増加しており、2011年は442.5億円で実に2007年の5倍にもなりました。
公取委が取り扱う案件が大型化する傾向になり、対象物の売上高が直接課徴金に大きな影響を与えることがその原因の一つとされており、
実例としてごみ焼却談合の際には5社合わせて約270億円の納付命令、ワイヤーハーネスカルテルでは3社合わせて約129億円の納付命令が出ました。
しかし、EUやアメリカに比べると高額ということでもないようです。
他の国のリニエンシー制度についてみてみましょう。
まずはアメリカ。
アメリカで独禁法に相当するのは反トラスト法であり、これを取り扱うのは米国司法省(DOJ)と連邦取引委員会(FTC)と2つあります。今回はDOJに焦点を当てましょう。
まずはカルテル・談合への制裁の仕方ですが、
日本とは違い、100%の刑事罰です。
個人に対して実刑の禁固刑と罰金刑、法人に対しても高額の罰金刑を貸します。
罰金額・禁固刑の期間ともに高額・長期化しています。
2011年は524億円だった罰金額は2012年は半期を過ぎる前に555億円を超えてしまいました。
2010-2011年の禁固刑期間の平均は2年です。
リニエンシー制度は2つに分けられ、
タイプAは申請時点で政府が情報を得ておらず、違反行為を終了に向け迅速かつ効果的に行動し、誠実かつ完全な報告及び完全かつ継続的な協力をし、組織体としての申請が求められます。
それだけでなく可能な限り被害者への損害賠償を行い、違反行為の指導者、発案者でなく他社に違反行為を強制してはなりません。これら全ての条件がそろって初めて適用されます。得られるメリットは企業及び役員・従業員の刑事免除。
タイプBはタイプAの条件を満たさない場合を考慮したものになっています。タイプAで第一位申請を逃した場合に他の商品で不正が行われ、その申請で1位を獲得した場合にその商品の不正の面積と先の商品の不正の罰金額の減額ができるというものです。
これは俗にアムテスティーと呼ばれたりします。
(これはかなり芋づる式に釣り上げられるような方法ですよね・・・・)

続いてEU。
EUは各国でもEUの連合体としても動けることに特徴があります。
ここではEUの連合体として動く方を説明しますね。
制裁方式は100%行政処分(もちろんイギリスなど国ごとに動くときは刑事罰もありえますよ。)
高い制裁金を設定して不正を抑制しようとするとする傾向があるため、かなり高額な課徴金になります。(約900億円が1つの企業に課された事例もあります。)

リニエンシー制度の中身ですが、制裁金の全額免除の条件は他の国と同様1番目の申請者であり、申請後田立に関与をやめること、捜査への全面的な協力を全証拠の提出、さらに申請を検討している事実及び内容を開示していないことも要求されます。さらに他の業者にカルテルへの参加・継続を強要してもなりません。
1位出ない場合には制裁金減額の要件を満たすもののうちその提出情報で交渉し、20~50%の減額が出来ます。

最後に新興国のリニエンシー制度についてみてみましょう。
まずは中国。
中国のリニエンシー制度は価格に関する独占的な協定なのかそれ以外のものなのかで管轄も変わってきます。
価格に関する独占的協定は国家発展改革委員会が管轄し、自主的な報告と重要な証拠提出で
1位の企業は免除できる、2位は50%以上の減額ができる、3位は50%以下の減額ができる
とされており、実際どれくらいの減免になるのかは委員会の裁量に任されています。
一方、価格以外の独占的協定は国家工商行政管理総局が管轄し、こちらも減免要件は自主的な報告と重要な証拠の提供ですが、こちらは1位の企業は免除すると規制されています。
1位以外の企業に関しては事情に応じて減額できる と1位以外は価格との場合同様曖昧な表現です。

それではインドはどうでしょう?
インドのリニエンシー制度の利用条件は
申請以降はカルテルに参加せず、重要な条件を委員会に提出、さらに委員会の捜査に誠実に全面協力するというものです。
そのメリットとして1位の企業は最大100%減免できる、2位は最大50%減免できる、3位は最大30%減免できる とこちらも曖昧な表現です。
ただ、インドの制裁金はEU並に高いということが報告されています。
(大東先生によるとこれには弁護士の先生一同もかなり会議の席でびっくりされていたそうです・・・)

最後に、最近企業を苦しめている国際カルテル事件。
純粋な日本国内で全業務が完結する企業以外の場合、カルテル事件に巻き込まれた場合は国際カルテルに発展する可能性をはらんでいます。
しかし、今までこの記事を読んでいればわかるように、各国・地域のリニエンシー制度はかなり異なっており、1位の企業のみを対象にする法域もあれば、減免が該当部署の裁量に任される法域もあります。
特にアメリカではディスカバリー制度を背景に捜査協力に大きな負担が生じたり、他の案件に飛び火するリスクもあります。
つまり、かなり慎重な総合的な判断が必要になってきます。

みなさん、どうだったでしょうか?

大東先生による『「リニエンシー・レース」を制する実務』セミナーからの記事でした。

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