近年、日本企業による欧米アジア等のベンチャー企業への出資案件が増加の傾向にあります。
ベンチャーへの出資の特徴として、リスクとの関係でマイノリティー/小額出資であること、出資によるリターンよりベンチャーの技術に着目した事業提携が主な目的であるケースも多いこと、ビジネス・リスクが高いこと等が挙げられます。また、世界中のベンチャー型投資案件が基本的にシリコンバレーのプラクティスをベースにしていることから、シリコンバレーの実務を深く理解することがベンチャー投資案件にきわめて重要であると考えられます。
こうしたベンチャーへの出資には、通常の合弁(JV)、買収型・経営参加型のM&A等とは異なる独特の実務があるという点を理解することが何より重要です。このような実務の状況を把握せず通常のJV/M&Aと同様の対応をすると、無駄にこじれて余計な費用がかかったり、あるいは、案件自体の失敗(ベンチャー側から出資を断られる)といった結果を招きかねません。しかしその一方で、これらの特徴ゆえに、案件が終了するまでの期間におけるビジネスチームの交渉負担の軽減やアドバイザー費用に関して少額投資案件に相応しい額に抑えることが可能です。
本セミナーでは、こうしたベンチャーへのマイノリティー出資における実務について解説し、スピーディー且つ効率的に案件を進めるための勘所に触れていきます。
1.米国等ベンチャー出資の特徴
(1) マイノリティー/少額出資
(2) リスクの高さ
(3) ベンチャー企業の特徴・創業者
(4) 出資目的
(5) 他の投資家の存在と関係
(6) 効率的な運用(限られた時間とリソースの中でもスムーズに実施する実務)
2.ベンチャー出資におけるデュー・ディリジェンス
(1) ベンチャー出資のDDの特徴・最低限押さえるべき事項の絞込み
(2) インタビュー/DDの実務のポイント
3.出資契約
(1) ベンチャー出資契約の特徴:標準契約書の存在/投資家に有利なデットライク条件がベースとなりながら、対象会社が成長していけるために柔軟な内容
(2) 契約交渉の余地の少なさの中で押さえるべきポイント
(3) 出資契約とりまとめの実務
4.その他
(1) 事業提携契約
(2) 許認可関係
〜質疑応答〜
【講師紹介】
ハンセン ネルス クリスチャン 氏
05年スタンフォード大学化学工学部卒業。07-08年慶應義塾大学法科大学院特別学生。08年ハーバード大学ロースクール卒業。ニューヨーク及びカリフォルニア州弁護士。外国法事務弁護士。大手国際法律事務所の東京及びパロ・アルトオフィス(シリコン・バレー)で執務した経験を有し、現在も多くのシリコン・バレー関連の案件を手掛ける。M&Aその他会社法一般の分野における案件に関与する他、ベンチャー投資に関して、ベンチャー会社側、出資者(リードインベスター/少数出資者)側、買収者側のそれぞれを代理した豊富な経験を有し、日本企業の海外ベンチャー出資に関しても年平均約10件程度を手掛ける。慶應義塾大学法科大学院で非常勤講師として「M&A及び戦略的提携」の授業を担当。日本語堪能。
※録音・ビデオ撮影はご遠慮下さい。