フィンテックとファイナンスのためのカルマンフィルター

〜直感的な理解と応用事例の検討〜

日時: 2019年5月15日(水)午後1時00分〜午後5時00分
会場: 金融財務研究会本社 グリンヒルビル セミナールーム
(東京都中央区日本橋茅場町1-10-8)
受講費: 39,000円(お二人目から34,000円)
書籍ご持参の方は、3,400円引きとなりますので
(店頭販売価格とは異なります)
お申し込みフォーム備考欄にご記入ください。
(消費税、参考資料を含む)

講師 森平爽一郎(もりだいらそういちろう)氏
慶應義塾大学 名誉教授

 カルマンフィルターはリアルタイムに入手可能で、雑音にさらされた時系列データからノイズを除き、正確な予測を行う工学上の手法として開発された。カルマンフィルターは日常我々が利用するナビ、お掃除ロボット、車や航空機の自動運転などにも重要な役割を果たしている。カルマンフィルターは、より広い「状態空間モデル分析」の理論的な枠組みのもと、1970年代から経済学に対する適用が始まり、最近ではファイナンス分野に対しても様々な応用が試みられている。とりわけ最近の話題であるAIやフィンテックにおいてもカルマンフィルターの利用が活発である。
 このセミナーではカルマンフィルターの理論を、線形代数などの高度な数学の知識を前提にせず、回帰分析に対しカルマンフィルターを用いると何が得られるのかを説明することから初め、理論の「直感的」理解を実際のデータとExcelによる計算ツールを用いて習得する。更にトレーディングや資産運用、リスク管理などにどのようにカルマンフィルターを応用できるかを内外の研究事例を紹介する。今回は特に多くのテキストや論文では議論されていない実際の適用に当たってノウハウや利用ソフトウエヤーやDFAという関連手法についても説明を行う。講義資料並びに森平爽一郎著『カルマンフィルター入門』(朝倉書店、2019年)を配布する。

T.カルマンフィルターとは?
(1-1) 単回帰分析とカルマンフィルターを比較する
(1-2) 事例:東電と沖電の確率ベータを推定する

U.逐次推定とは:Excelを用いて理解する
(2-1) 逐次推定によるリアルタイム計算。なぜ重要なのか?
(2-2) 平均値と分散の逐次推定を理解する
(2-3) 移動平均と指数平滑を逐次推定として理解
(2-4) カルマンフィルターの直感的な理解

V.カルマンフィルターとは:Excel理解
(3-1) カルマンフィルターモデルを「言葉」で理解する
(3-2) カルマンフィルター特有の記号や変数名を理解する
(3-3) カルマンフィルターの導出:正規分布を仮定する場合に限りその直感的な理解を目指す。
(3-4) 2変量正規分布の条件付期待値と条件付き分散は何を意味するのか?絵を描いて理解する。
(3-5) カルマンフィルターにおける「予測」、「フィルタリング」、「スムージング」は何を意味するのか?
(3-6) カルマンフィルターの導出:1期先予測
(3-7) カルマンフィルターの導出:フィルタリング
(3-8) カルマンフィルターの導出:スムージング
(3-9) Excelを用いた実習:株価と為替データを用いて実際に試してみる。

W.DFA(ダイナミックファクター分析)
近年計量経済学の分野で進展が著しい状態空間モデルの推定方法であるDFAの理論、推定方法、応用例について説明する。

X.カルマンフィルター適用の実践的ノウハウ
カルマンフィルターを実際の問題に適用に当たっては、テキストや論文にかかれていないノウハウが必要である。特に固定パラメータ推定のための最尤法について説明する。

Y.応用:様々な応用事例を理解する
(4-1) 確率スマートベータの推定
(4-2) マルチファクターモデルへの適用
ファーマ・フレンチモデルをKFを用いて推定
(4-3) 「ペアトレーディング」への応用
(4-4) 確率ボラティリティの推定:為替と株価にへの応用。GARCHモデルとの違い
(4-5) 金利期間構造分析(1)KFによるマイナス金利モデルの推定
(4-6) 金利期間構造分析(2)債券価格にキャリブレートして短期金利の時系列変化を推定する。
(4-7) 先物を用いた分析 コモディティ先物価格から現物価格の推定。確率的なヘッジ比率の推定
(4-8) 商品価格予測モデルの開発
(4-9) 卸電力価格の短期予測モデル
(4-10) 期待インフレ率の推定:基本的な考え方
(4-11) その他の応用事例

Z.非線形のカルマンフィルターへの道

[.カルマンフィルター分析のためのソフト紹介

提供図書:
講師著『ファイナンスのための カルマンフィルター入門』
(朝倉書店、2019年、税込4,320円)

【講師略歴】
テキサス大学(オースチン校) McCombs School of Business博士課程卒業(PhD in Finance)、福島大学経済学部助教授、慶應義塾大学総合政策学部教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授を経て現在に至る。日本銀行金融研究所国内客員研究員(1999-2001年)、京都大学経済研究所金融工学研究センター客員教授を兼任(2003-05年)。応用ファイナンス理論、保険学(保険、保険数理学)、証券アナリスト検定試験委員など。
主要著書:
『信用リスクの測定と管理』(中央経済社、2011年)、『信用リスクモデリング』(朝倉書店、2009年)、『コンピュテーショナル・ファイナンス』(朝倉書店、1997年)、『物語で読み解くデリバティブズ入門』、『物語で読み解くファイナンス入門』(日本経済新聞出版社、2011年)。『経済ファイナンスのためのカルマンフィルター』(朝倉書店、2019年)、『EViewsで学ぶ応用ファイナンス ファイナンスデータを使った実証分析へのいざない』(日本評論社、2019年)。

※録音・ビデオ撮影はご遠慮下さい。
主催 金融財務研究会
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