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日本型資本主義をターゲットとする
3種類のアクティビスト戦略の論点

〜「資本効率型」、「上場親子会社型」、「基本変形型」合戦の
攻めとその防御の論理〜

日時: 2019年2月20日(水)午後1時30分〜午後4時30分
会場: 金融財務研究会本社 グリンヒルビル セミナールーム
(東京都中央区日本橋茅場町1-10-8)
受講費: 34,400円(お二人目から29,000円)
(消費税、参考資料を含む)

講師 スティーブン・ギブンズ
外国法事務弁護士 米ニューヨーク州弁護士
上智大学 法学部教授

 「もの言う株主」が日本列島に初上陸してから15年余りが経過した。その間のコーポレートガバナンス改革の進展、日本型資本主義の衰退とともに、日本はもはや外資アクティビストにとって絶望的な戦場ではなくなってきた。同時に双方の対論の内容と論理も展開されてきた。
 近年のアクティビストの対日戦略を分類すると、次の3種類が大半を占める。それぞれの論点は異なる。

1. 資本効率型
過剰な金融資産、“政策保有株”、現金を保有する企業は相変わらずアクティビストの株主還元要求のターゲットになりやすい。「資本効率」論の正当性を近年日本国内においても認めざるを得なくなった中、この類の要求には対抗しづらくなってきた。2018年度は外資ファンドが、複数社の株主総会において、強化されたコーポレートガバナンス・コード規定の遵守を要求し、増配等を求める株主提案を提出した。2019年度もこの類の要求が続く見込みだ。

2. 上場親子会社型
利益相反を必然的に招く日本独特の上場親子会社は相変わらずファンドの狙いやすいターゲットになっている。完全子会社化の案件に参画して、成功裡に買い取り価格を釣り上げる例が最近まで主流だったが、2018年に入って新たな上場親子会社化を止めさせようとするアクティビスト合戦も注目された。ソフトバンクのIPO、あるいはルノー・日産に代表される親子上場会社のガバナンス問題は、アクティビストの親子上場会社に対する批判材料になることが容易に予想できる。

3. 基本変形型
欧米の土俵では、アクティビスト活動は主に大会社に対するM&A、会社分割等、対象会社の根本的な変形を求める形をとっている。日本では、現在までこのような会社構成を抜本的に変える要求は少なく、成功例はほとんどない。しかし、世界最大級のアクティビストヘッジファンド(エリオット、バリューアクト等)は近年日本に資金を回しはじめ、対象会社の支配権を取得する規模の取引をし始め、対象会社の経営陣を任命する、または対象会社を海外同業他社に転売するといった動きを見せるようになってきた。

 海外アクティビストと、ターゲットとされた日本の企業との間の攻防に際し、双方に助言をしてきた講師が、最近の主流である上記3種類のアクティビスト合戦の現在進行中のやりとり及びその論点を読み解く。

【講師紹介】
東京育ち。京都大学法学部大学院留学後、ハーバード・ロースクール修了。Debevoise & Plimpton, New Yorkに勤務後、1987年以降は東京を拠点とし、国際企業法務を主な業務分野としてGibson, Dunn & Crutcher、西村総合法律事務所(現:西村あさひ法律事務所)にて勤務。2001年よりギブンズ外国法事務弁護士事務所所属。
主要著書:
“The Vagaries of Vagueness: An Essay on “Cultural” vs. “Institutional” Approaches to Japanese Law”, 22 Michigan State International Law Review 839 (2013) 、“Looking Through the Wrong End of the Telescope: The Japanese Judicial Response to Steel Partners, Murakami and Horie”, in Washington University Law Review, Vol.88, No.6 (2011) 、“Corporate Governance and M&A”, chapter in Japanese Business Law, G. D. McAlinn, ed. (Wolters Kluwer 2007)、
「Grokster米連邦最高裁判決とWinny開発者事件をめぐる「意図」の関係」 国際商事法務 Vol. 33, No.8 (8/2005)、
「UFJ-MTFGの「取引防衛対策」はどの「取引」を「誰」のために「保護」しているのか?」 国際商事法務 Vol. 33, No.2 (2/2005)、 「デラウエア州最高裁であったら、今回UFJホールディング側がとった合併統合防止策に対して、どのような司法判断を下したであろうか?」 国際商事法務 Vol. 32, No.10 (11/2004)。

※録音・ビデオ撮影はご遠慮下さい。
主催 経営調査研究会
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